「千人が治った」体験は信じられるのか?

何人治っても

治療の有効性を証明したことにはならない。

「サクライザー新聞」を配りながら、

ファンの方との話の中で、

アレルギーについて問い合わせがあった話は、

以前にも書きました。

そして、

さまざまな「民間療法」を試しているという話も聞きます。

そしてその「入り口」となるものに、

書店に並ぶ、

患者さんの体験談をまとめた本があります。

「この治療でアトピー性皮膚炎を治した。千人の体験談」などと書いてあると、

つい手を出してしまうものです。

小児アレルギーの専門医 の

“「千人が治った」という治療が果はたして有効なのかどうか”という話を聞いたことがあります。

結論から先に言えば、

仮に「千人が治った」としても、

その治療が有効だと科学的に証明したことには全くならないそうです。

その〝からくり〞とはーーー。

例えば、

治療を受けた人が5千人いて、

2年後にこのうち千人が治っていた。

もし、

その5千人が治療を受けなかったとして、

自然に治った人が5百人しかいなければ、

確かにこの治療は統計学的に有効とされます。

ところが、

治療を受けても受けなくても自然に治る人が千人いれば、

それは自然治癒と同じなので、

この治療に効果はないというのです。

さらに、

治療を受けた人が5千人いて治った人が千人いた。

ところが治療を受けなかった人がやはり5千人いて自然に治った人が2千人いれば、

結果は自然治癒より低いので、

たとえ「千人が治った」としても、

この治療は有害だというのです。

そして「アトピー性皮膚炎の治療でもこうした例があるので十分に注意しなければいけない」と指摘していました。

「本に書いてあったから」と云って、安易に信じるのは危険

ある治療を受けたグループと受けなかったグループで、

治った人の割合を科学的に比較しなければ本当にその治療が有効かどうかは証明できないという考え方で、

「根拠に基づく医療」の基本とされています。

患者の視点で考えれば、

「友人の子どもが治ったから」

「本に書いてあったから」といって、

安易に信じてしまうのは危険ということになるでしょうか。

ところで、

これからの季節、

喘息などの基礎疾患がある人は、

インフルエンザに感染した場合に肺炎などを併発したり、

重症化するリスクが高いとされているので、

いつにも増して不安な日々を送っていませんか。

小児アレルギーの専門医は、

「こういう時こそ必要な薬をいつも以上にきちんと使い、

喘息をしっかりとコントロールしておくことが大事」

(国立成育医療センター総合診療部小児期診療科医長の赤澤晃先生)

喘息の考え方や薬による治療は、

大きく進歩したそうです。

かつては「発作が起きている時だけが喘息で、あとは治っている」、

だから治療も発作を止める「対症療法」が中心だった、

ところが喘息の解明が進み、

今では「気管支の慢性的な炎症が喘息の姿。刺激を受けて発作が起こる」ので

「発作がない時も慢性的な炎症をなくす継続的な治療が必要」と教えてくれました。

発作を止める治療から、発作を起こさない治療へと変わったのです。

自分の判断で薬をやめてしまう人が心配です

喘息の子どもたちの多くは、

発作を止める薬と、

発作がない時も使う慢性的な炎症をしずめる薬の

二種類を処方されています。

この二つの薬の違いを理解して指導通りに使うことが大事なのですが、

「発作が起きなくなったから、もう薬はいらないだろう」と勝手にやめてしまう人がたくさんいるそうです。

気管支の炎症が残っている、

そんな時にインフルエンザにかかったら重症化しかねません。

赤澤先生はそのことを教えてくれているのだと思います。

知合いも、もう五年以上、発作を起こしていないそうです。

でも気道の過敏性を調べるとまだ炎症は残っていることが分かったので、

炎症をしずめる薬を普段からしっかりと使うことで、

風邪をひいても発作が起きない生活を続けているようです。

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