新春★山本博士の事件簿3 「母恋し」2012年01月03日

右左口は、
タイプ108RA起動実験の前日、
研究所近くの病院に母親を見舞っていた。

右左口  「お母様。ご無沙汰してしまい、申し訳ありません。」
右左口・母 「シゲルも元気そうね」
右左口  「やっと、研究の成果の発表にこぎつけました。マスコミとか、科学雑誌で、世界中が大騒ぎになります」
右左口・母 「楽しみだわね」
右左口  「博士も、私の能力を高く認めて下さり、研究室の室長をやらないかと云われましたが、断りました。同僚の女の子も、私に気があるみたいで、面倒臭いです」
右左口・母 「シゲルも元気な姿が見れて、母さん、嬉しいわ」
右左口  「もう、行かないと」
右左口・母 「また、会いに来てね」
右左口  「約束します」

病室を出て行く、右左口。

右左口・母 「いつもそう……あの子は、私を喜ばすためなら、平気で嘘をつき通せるんです。」
看護師  「嘘?」
右左口・母 「愛情を信じられないというか、信じたいと云うか、何度も何度も、確かめようとするんです。やっぱり、血がつながっていないせいね。」
看護師 「………」
右左口・母 「今は、科学者のマネごとみたいなことやっているらしいけど……やっぱり、血は争えない。」
看護師  「どんな方だったのですか、息子さんの、あのー、お父さん」
右左口・母 「あの人は、危険な科学者、とんでもない野心家、見境のない女好き……ハンサムだったけど、事故で右手を失って……」
看護師  「今もどちらかに」
右左口・母 「さあー、どこにいるのか知らないわ……でも、この二人が出会うと、なにか良くないことが起こると思うの。だから、一日でも長く、生きていたいの。それが心配だけど、息子のそばに、山本博士がいれば、安心ね。」

だが、そんな母の思いとは裏腹に、山本博士と右左口は、出来事をきっかけに、袂を分かってしまう。新たな悲劇の始まりであった。

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