子どもたちを責めないで

千葉県野田市で小学4年生の女の子が死亡し、

子どもへの虐待が改めて深刻な問題となるなか、

国連で採択された条約に基づく「子どもの権利委員会」は、

日本政府に子どもへの体罰を禁じる法整備を急ぐよう勧告しました。

「子どもの権利委員会」は、

国連総会で採択された「子どもの権利条約」の下、

各国の子どもの人権状況を審査していて、

7日にスイスのジュネーブで記者会見して日本についての審査結果を公表しました。

この中で委員会は子どもの虐待を問題視し、

日本では家庭での体罰が法律で完全に禁止されていないと指摘しました。

そのうえで、

「たとえ軽いものであろうが、体罰は明確かつ完全に禁止すべきだ」として、日本政府に体罰を禁じる法整備を急ぐよう勧告しました。

体罰を禁ずる法律は北欧やアフリカを中心に50か国以上で整備され、

現在、フランスでも審議が進むなど、

導入に動く国も増えているということです。

また会見では、

千葉県野田市で小学4年生の栗原心愛さん(10)が死亡した事件について質問があがり、

委員の1人は個別の案件にはコメントできないとしながらも、

「女の子はきっと何人もの大人に助けを求めたはずなのに、

誰も手をさしのべようとしなかったのではないか。

こんな悲劇は二度と繰り返されるべきではない」と述べました。

マスコミは、極端な虐待ばかりを伝えますが、

かえって、「自分には関係のないこと」という他人事意識を起こさせてしまいます。

しかし、

日常のしつけの中にも、

そうした要素が潜んでいます。

子どもが健康に育つためには、

養育者との愛着が重要です。

愛着とは、子どもと特定の人物(親などの養育者)との間に形成される強い結びつきのこと。

子どもの行動に対して、

①目と目で見つめ合う

②手と手で触れ合う

③ほほ笑む、といった愛情を持った関りで応えることで形成されます。

安定した愛着が形成されると、親は子どもたちにとって安全地帯となります。

子どもはその安全地帯を足掛かりにして、

興味や好奇心に導かれて外の世界へと冒険することができるのです。

さまざまな経験を積むことで脳は発達し、

認知力や豊かな感情を育みます。

しかし、脳が最も発育する幼少時代に、

不適切な関りで愛着が形成されない場合、

特に精神面において、

問題を抱えてしまうことがあります。

具体的には心の病へと推移したり、

幼少期に問題がないようでも成人してから、

健全な人間関係が結べない、

達成感への喜びが低い、

何に対しても意欲が湧かないなどのさまざまな問題が現れたりします。

子どもへの不適切な関りのことを、

「マルトリートメント」と呼びます。

「暴力」「言葉による脅し」「罵倒」「放置」「自由な行動の束縛」といった子どもが傷つく全ての行為を指します。

こうしたことは、「虐待」ともいわれますが、

「虐待」よりも「マルトリートメント」の言葉の方がより広く知られて欲しいと考えます。

なぜなら、「虐待」という言葉は強烈で、

センセーショナルな事件性のあるものがイメージされ、

一般の人にとっては、

「自分には関係のないこと」と捉えられてしまいがちだからです。

しかし、日常の「しつけ」と云われる種類の関りによっても、

マルトリートメントは起きている場合があるのです。

「あなたはダメな子ね」

「生まなければよかった」といった存在そのものを否定する言葉や、

「お兄ちゃんはできるのにあなたはなぜできないの?」といった、

兄弟や友達と比較する言葉、

また話し掛けられても無視したり、

子どもの意思を尊重せず行動を一方的にコントロールすることもマルトリートメントに当たります。

直接の暴力、暴言がなくても、

例えば、激しい夫婦げんか、DVを見せることもよくありません。

驚くことに、DV目撃の中でも、暴言を吐かれるといった心理的暴力の目撃の方が身体的暴力の目撃に比べて6倍も子どもに悪影響があることが分かりました。

余談になるが、

DVされる側は感情的と見られがちで、

DVする側は冷静で理論的なことが多い。

一見すると、DVされる側に問題があるように映ってしまう。

そのことを理解した上で判断しないと、

対応を誤ってしまう。

脳画像の研究で、

子ども時代のマルマリートメントによるつらい体験によって、

脳が変形してしまうことが分かってきました。

厳しい体罰では、前頭前野の一部の容積が平均19.1%減少。言葉の暴力では聴覚野の一部の容積が平均14.1%増加。DVの目撃では、視覚野の容積が減少してしまいました。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする