循環器病対策基本法

脳卒中や心臓病などへの対策を強化する

「循環器病対策基本法」

昨年12月の臨時国会で成立し、今年中に施行される。

法律に基づき、国と都道府県が対策推進基本計画を策定し、

予防や医療機関の整備、患者の生活の質の向上など総合的な対策に着手する点で大きな一歩と云えます。

脳卒中と心臓病は、

ともに血管の病気で、

生活習慣などにより血管の動脈硬化が進むと動脈の中に血栓ができやすくなります。

それが脳の血管につまれば脳梗塞、心臓の冠動脈につまれば心筋梗塞となります。

日本人の死因で最も多いのはがんで、

二番目は心臓病、次いで脳卒中となっている。

心臓病と脳卒中による死者数は、がんに匹敵し、

75歳以上の後期高齢者になると、

がんによる死者数を年間約2万人上回る。

一方、要介護に陥る最大の原因は脳卒中だ。

心臓病と合わせると要介護になる原因の約25%を占める。

医療費も、がんより1.5倍多い。

日本は世界トップレベルの長寿国だが、

平均寿命と健康寿命の差は男女平均で約10年あり、

この最大の要因が循環器病とされている。

後遺症が残ったり、入退院を繰り返す可能性が高いからだ。

高齢化が進む中、循環器病患者の一層の増加が見込まれ、

医療費や介護費を抑える観点からも対策が急がれる。

今回の基本法成立により期待される効果が大きく三つある。

一つ目は、予防教育が進んでいく点。

脳卒中や心臓病は予防効果が大きく、

塩分や脂肪分を抑えた食生活や運動によってリスクを軽減できる。

こうした正しい知識を義務教育などで普及することは、

将来的に循環器病を減らすことに直結する。

二つ目は、医療体制の格差が是正され、

身近な病院で適切な治療を受けられる体制が整えられていくことだ。

脳卒中と心臓病は救急疾患で、一刻も早い治療が欠かせない。

こうした点からも拠点となる病院が整備されることで多くの患者を救えるようになる。

急性期のみならず、回復期から慢性期、要介護期に至るまでの切れ目のない支援体制が構築されれば、患者の生活の質も高まっていくだろう。

三点目は疾患登録が進み、有効な治療法などの道が開かれることである。

脳卒中も心臓病もこれまで、医療機関から任意で情報を集めており、

全数登録が難しい状況だった。

「がん登録」のように全国統一の登録制度ができれば、

患者数や生存率など正確な実態を把握できる。

さらに、地域の病院の治療実績がデーターで分かれば、

どの病院で治療を受けたらいいか、患者自身も判断できるようになる。

これ以外にも、保健、医療、福祉従事者の育成や、予防、治療の研究の加速も期待される。

約12年前に施行された、がん対策基本法は、

専門的な医療を提供する診療連携拠点病院の整備や緩和ケア提供体制の構築につながった。

循環器病も基本法に基づいた実効性のある対策強化が望まれる。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする